自動車事故査定業務を自動化
世界17カ国、約140社が導入
04.11.2020
ドイツに本社を構えるインシュアテック企業のコントロールエキスパート社(以下、CE社)の日本法人、コントロールエキスパートジャパン(東京都港区、望月重成CEO)が、日本国内でのビジネス展開を本格的に開始した。CE社は最先端のAIや画像認識技術と、カーエキスパートによるハイブリッドの自動車査定ソリューションを提供しており、世界17カ国、約140社の保険会社を顧客に持ち、業務効率化に貢献している。「CE社の実績を踏まえ、日本保険業界に新たな風を吹かせたい」と話す望月CEOに、同社の特徴や今後の事業展開などについて聞いた。
CE社は2002年にドイツで設立され、最先端のAIや画像認識を活用し、主に自動車事故査定業務の自動化・効率化を中心としたビジネスを展開している。現在は欧州、アジア、米国、南米を中心に世界17カ国に進出しており、アリアンツグループ、チューリッヒグループ、AIGグループ、アクサグループなど、グローバルに展開する保険会社をはじめ約140社の損保会社の自動車事故査定業務をサポートしている。
同社はCE社の日本法人として19年6月に設立されており、今年8月にデロイトトーマツコンサルティング、SAPジャパン、リーマンブラザーズ証券米国本社などを歴任し、保険業界向けソフトウェア会社を10年率いてきた望月重成氏がCEOに就任した。また、シニアフェローにもと損保協会常務理事で現在は日本代協アドバイザーなどを務める栗山奏史氏、顧問弁護士にインシュアテックの第一人者で森・濱田松本法律事務所の増島雅和氏を迎え、業界に深い知見を持つ地に足のついた体制を整えたことから、日本国内でのビジネスを本格化する。
同社が提供する自動車事故査定業務のプラットフォームの特徴は、CE社が17社にわたり、約140社の損保会社をサポートすることで蓄積してきた各種データを駆使していること。蓄積された画像データや過去データとAIを活用することで、アジャスター業務が効率化するプラットフォームを提供している。他にも、事故を起こした、または事故に遭った顧客に自動車の写真を撮ってアップロードしてもらうことにより、AIが瞬時に査定して結果を表示するソリューションも提供している。日本は災害大国であり、災害時は自ドスはの被害も多いことから、そうした際の査定業務にも活用可能だという。
また、同社には経験豊富なアジャスターなどのカーエキスパートが在籍していることから、最先端のAIや画像認識技術に加え、日本におけるアジャスター業務に精通したカーエキスパートによるハイブリッドのソリューションを提供する。
望月CEOは「当社の強みは17年間の経験による業務ノウハウとデータの蓄積、その上にAIなどの最先端のテクノロジーを掛け合わせている点にある。デジタルトランスフォーメーション(DX)で先行するドイツの保険業界のノウハウを日本に最適な形で適用していきたい」と強調する。
また、シニアフェローに就任した栗山氏は「CE社は、初期のインシュアテック企業のようなデジタルアタッカーではなく、保険会社とのウィンーウィンの関係を目指すドイツの優良企業だ。自動車保険の損害調査部門における有力なパートナーになる」と期待を示す。
顧問弁護士の増島氏は「インシュアテックのブームに乗って市場規模や売上獲得のみを目指してテクノロジーを保険業界に応用するという発想ではなく、保険の実務をしっかりと理解した上でテクノロジーと人を融合し、保険業務の効率化を実現しようという地に足の着いた理念を持っている会社だ」と顧問弁護士を引き受けた理由を述べる。
同社はすでに大手損保をはじめ複数の保険会社と取引しており、顧客の要望を踏まえながらスピード感を持って対応していく方針だ。また、規模と人材の拡大を図ることで安定した事業基盤を構築していくとしている。