コントロールエキスパートジャパン社 損保会社にサービス提供
AIとデジタルを活用
08.07.2022
最新テクノロジーを活用した自動車事故査定業務のデジタルソリューションを開発・運用するドイツのコントロールエキスパート社が一昨年、日本法人を立ち上げた。同社は、世界有数の保険グループであるアリアンツグループの一員。事故発生から保険金支払いまでの一連のプロセスをデジタルとAIでワンストップ化させることが可能になるもので、その効果は、同社の仕組みを導入しているアリアンツが実証済だ。日本法人では今後、損保会社などにサービスの提供を進めていく。日本法人「コントロールエキスパートジャパン株式会社」の代表を務める望月重成氏にサービス概要や日本での事業展開などについて聞いた。
コントロールエキスパート社はアリアンツのグループ会社で、ドイツに本社を構える。世界20か国で展開しており、社員数は約800名。日本法人は2019年6月に設立し、望月氏が日本法人代表に就任したのは2020年8月。日本法人の主要な取引先は国内の損保会社で、一部、レンタカー会社との取引きもある。
同社はもともと、ドイツの元アジャスターが20年前に立ち上げた会社で、自動車保険の損害調査・査定業務プロセスのデジタルサービスを運用・提供している。サービスの特徴は、同社独自の画像認識技術とAIを生かした自動車事故損傷部位の検知および損傷度合いの検知、修理工場からの見積もりのデジタル化とBIによる分析だ。
同社のソリューションを活用すれば、事故発生から保険金支払いまでの一連のプロセスをデジタルとAIでワンストップ化させることが可能になる。例えば、事故が起きた際、損傷箇所をドライバーがスマートフォンなどで撮影し、その画像を保険会社のコールセンターや保険代理店に送信し、そのデータが保険会社のシステムにアップロードされることで、AIによる事故認定状況(全損・認定払い・修理・更なる調査、など)の判定がなされる。その結果、保険を活用する修理となった場合は、修理工場が作成する見積もりの適正度合いもシステムがAIで判定し、最終的に保険金が支払われるまでの一連のプロセスをデジタルとAIで完結できるという流れになる。
このオペレーションは実際ドイツのアリアンツ社では開始されている。
日本でも今後、こうしたワンストップによる全業務プロセスの導入を損保各社に呼びかけていくが、まずはプロセスごとのソリューションサービスを段階的に提供していく考えだ。
現在は、損保会社のアジャスター業務を同社が受託する取り組みを始めており、損保複数社と契約を交わしており他損保社からの引き合いも増えている。具体的には、修理工場から送られてきた損傷箇所の画像と見積もりを同社のテクノロジーで画像認識し、損傷箇所の分析と修理の必要性の有無、見積もり内容の適正化の判定などを行う。そのデータをもとに同社のアジャスターが修理工場との交渉や見積もりの再作成をするとともに、ここで得られたさまざまな分析データを保険会社にフィードバックするというものだ。
望月氏は「アジャスター業務委託では、当社アジャスターがAIプラットフォームを活用することで生産性が高まると同時に、全ての案件がデジタル化されるために、BIツールでこれまで見えなかった様々な分析が行えるようになり、保険会社にとってより戦略的な損害調査の実現に繋がっている」とサービスの効果に自信を示す。
2022年7月4日付 新日本保険新聞掲載